FC2ブログ
2018年11月 / 10月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫12月

2012.07.14 (Sat)

「和波孝禧アフタヌーンコンサート」に田島高宏さんが師弟共演

 TOP頁に戻る
     

イヤホンやヘッドホンでの視聴をお勧め致します。

       
    
オイストラフ父子によるサラサーテ作曲「ナヴァラ」       


長く続いている「和波孝禧(たかよし)アフタヌーンコンサート」の第23回に田島高宏さんがゲストとして師弟共演を果たす、というので東京文化会館に出掛けてきました。私はつくばの地に引込んでからというもの、すっかり田舎暮らしを楽しみとし、コンサート自体が久振りでした。しかも生徒の演奏を耳にするのは何と二十年ぶり…自分自身はちっとも変わっていないつもりでも――こちらの記憶と成長は止まったままと言う事でもあり――喜び半分、不安半分、の浦島太郎状態で出掛けたわけです。
曲目は、二つのヴァイオリンでの演奏が、シュポア、プロコフィエフ、そしてあのチゴイネルワイゼンで有名なサラサーテのナヴァラ、和波孝禧さんの独奏がベートーヴェンのヴァイオリンソナタ第6番、田島高宏さんはス―クの4つの小品、という様にヴァイオリニストらしい難曲が並び、楽しみなプログラムでした。
田島さんが現れた時に先ず驚いたのは、どちらかと言うとふっくらして小柄な印象だった彼が、優に180センチは下らないであろう長身のスラリとした体格となっていて、マナーもヨーロッパ仕込みなのか、聴衆を疲れさせない様、常にリラックスした雰囲気で微笑を絶やさず、実に洗練されたいでたちでした。(別人なのではと思った程?!)
田島さんと言えば、和波孝禧氏の弟子として、桐朋学園に入り高校から親元を離れ、和波孝禧氏の弟子として、師匠の、息子の様に可愛がってくれる一方で、多分そうとうに厳しいレッスンと修業を積み重ねた結果、大学卒業後、札幌交響楽団のコンサートマスターを勤め、その後、ドイツのフライブルク大学に留学しました。その地で再び、北西ドイツフィルハーモニーというプロオケのコンサートマスターとなって研鑽を積んで来ました。それだけに今回のコンサートでは、新たな境地に辿り着いたのか、自然体で繊細に美しく歌い上げるスタイルから、グッと面白みと迫力を増し、本場ヨーロッパの香りが漂う様な、変化に富んだ自由で豊かでフレッシュな音色を聴かせてくれました。師匠との二重奏もあうんの呼吸の掛け合いが実にスリリングで素晴らしく、お客さんも大変満足し、惜しみない拍手を送っていました。

和波孝禧さんは、還暦もとうに過ぎた御歳66歳と言う事でしたが、全くの現役で、ピアニストの奥様の土屋美寧子さんと共に、今でも各地でエネルギッシュに演奏活動を続けている数少ない、日本を代表するヴァイオリニストのお一人です。( 器楽奏者は肉体的な面などから長く演奏活動を続けることは難しい事が多い ) 特に和波さんは、全盲という不利な事情を抱えており、4曲の全楽章、時間にして一時間以上を全て暗譜で弾き通し――舞台の譜面台は高宏君の為だけに用意されていたのでした――この演奏者にとってはいつもの普通の事なのかもしれませんが、私たちから見れば正に超人といえるでしょう。
曲と曲の間に軽くかわされるト―クも面白く、ほとんどが田島さんのお酒の失敗談などでしたが、師匠に反論出来ない彼の表情がまた面白く、笑いの絶えない和やかなステージとなりました。堅苦しいクラシック音楽コンサートのイメージも一新する様な雰囲気で、この様なコンサートなら、うちの生徒さんでも楽しめるかも!?と思ってしまいました。
もちろんコンサートに行くというのは、楽しみだけを求めて行くのではないと思います。真面目な話、いろいろな人々が、いろいろな思いを持って、集まっているわけで――こんな時代ですから、それぞれ悩みもあるでしょうし、人生に対し懐疑的になったり、解決のできない重い問題を抱えている人もいるかもしれない――和波さんの演奏というのは、深淵で、力強く、どんな思いも受け止めるだけの音楽的な懐の深さがあり、心の奥底に届くように美しく歌い上げる情熱と品格のある演奏だな…と改めて思いました。
事実、輝かしい経歴を持ち、亡き江藤俊哉氏の弟子としてその奏法を正統的に継ぐ、別格の演奏家なので、ヴァイオリンをやっている以上は是非一度、皆さんも一流の演奏家の音色と音楽に耳を傾けてみることをお勧めします。

田島さんもドイツのオケの演奏旅行の合間をぬって日本に来てこのプログラムをこなし、またドイツにトンボ帰りしなくてはならないそうです。この夏休みは、日本の後輩や、アマチュア音楽愛好家など集まる「和波たかよし八ヶ岳サマーコ―ス&コンサート」のアシスタント講師として、またこちらに滞在するそうで極めて多忙な毎日を送っている様です。
ドイツの○○シュタ―レツ・カペレ(国立歌劇場の意)のコンサートマスターオ―ディションの招待状などが来るのだそうで、自分自身の練習がなかなか儘ならない事が不満である様子ですが、頑張って欲しいと思います。
私としては、最近よくTVで、ヨーロッパで修業をし帰ってきた日本人シェフの店に現地の外国人が行くと、本場よりも美味し~いと称賛される事がよくあるので、そんな演奏家になって欲しいな、と思います。




バッハ:無伴奏ソナタバッハ:無伴奏ソナタ
(1992/12/15)
和波孝禧

商品詳細を見る

聴くにも、勉強するにもとてもいい愛聴版




ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ全集ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ全集
(2006/10/25)
和波孝禧&土屋美寧子

商品詳細を見る

ベートーヴェンソナタは現在一時的に在庫切れ。再入荷が待たれます




 引き続きクラシック万歳!!

 TOP頁に戻る



  
関連記事
15:20  |  アンサンブルの愉しみ  |  EDIT  |  Top↑
 | BLOGTOP |